小説 現代小説

少年4人の青春小説「4TEEN」石田衣良

中学2年生
14歳の少年4人による日常の中の様々な出来事

「4TEEN」概要

著者:石田衣良

直木賞受賞作
主人公の僕はテツロー。ジュン、ナオト、ダイの4人でいつもつるんでいる。
見た目も性格も育った環境も全く違う4人の少年が友情、恋、小さな冒険を通して何を考え、何を感じるのか

困難に立ち向かい、時には泣き、笑い、助け合う
少年たちの日常の中の少し非日常な出来事が瑞々しく描かれている。

登場人物

テツロー

僕。中学2年生。
小説ではこの僕の目線でずっと描かれている。

ジュン

内藤淳。
背が低く眼鏡をかけている。頭が良く4人の中ではリーダー格。

ナオト

早老症。髪の毛の半分が白髪。
普通の何倍もの早さで年をとる病気。家は金持ち。

ダイ

小野大輔
良く遅刻をする。家は貧乏で大食い。太っている。

物語はこの4人を中心としてオムニバス形式になっています。

テーマや要素

「4TEEN」は以下のような要素が含まれています。

  • 青春
  • 少年の恋
  • 暴力
  • 友情
  • 悩み
  • 家族
  • 病気

このような要素が気になる方におススメの小説です。

おススメのポイント

男子生徒ってこんな感じなんだって思った青春小説

個性的な登場人物たち

少年4人もそれぞれに個性がありますが他の登場人物もかなり個性的なラインナップ。

町で声を掛けられる宇多田ヒカル似の女子高生は援助交際をして、煙草を吸う。

どこかアンニュイな雰囲気をまとい、ジュンの相手だと分かっても驚きません。

クラスメイトの冴えない女の子のルミナは拒食症で不登校。

関本譲は放送委員なのに空気が読めない問題児。

34歳の玲美さんは夫の暴力に悩んでいて、森本くんは女みたいな恰好をした一匹狼。

僕とルミナは付き合うのですが、ルミナは情緒不安定な女の子で太ったり痩せたりを繰り返します。

そのことへの感想が面白い。

やせているときのルミナと、太っているときのルミナは別人のような抱き心地で、
ふたりの女の子と付き合っているみたいだし
ぼくは41プラスマイナス16kgのルミナが好きなんだから。

『4TEEN』より

一番印象的だったのは病院を抜け出したアカサカさんです。

元医者のアカサカさんは死に場所を自分で決めたくて病院を抜け出すような人物です。

少年4人の組み合わせ

どうしても、映画スタンドバイミーを思い出してしまう。

まあ、ただそれだけなんですけどね。

物語は僕ことテツロー目線で語られていきます。

このテツローと頭脳明晰なジュンがメインになってますが

主人公の僕はいたって平凡な少年で、両親の中もよく成績も中くらい。

ジュンの家庭環境については書かれていませんが、成績優秀で親たちからの信頼が厚い。

それに引き換えナオトとダイは問題だらけです。

ナオトの家は金持ちでタワーマンションの上の方に暮らしていますが、難病を患っています。

ダイの方は父親がどうしようもない暴力男で家も貧乏です。

悲惨な状況と言えるでしょう。

それでも書き方が良いのか絶望的な悲壮感はなく爽やかな疾走感のある小説でした。

ジュンは頭が言い分、他の人にはない悩みがそれなりにあるようです。

もちろんテツローにもありますが・・・。

それでも一番平凡なテツロー目線で語られていくのが面白く感じます。

最後の章の小さな冒険

4人は親に嘘をつき房総半島に2泊3日の旅に行くと言い、実は新宿中央公園にテントを張ってキャンプもどきをやることにします。

この2泊3日の小さな小さな冒険の間にも4人は様々な経験をします。

少し大人な経験をして、クラブにも行き、2人の少女と出会う。

この辺りは私は女なのでピンとこない部分もありましたが、いかにも少年らしい体験が掛かれていました。

ラストに4人はそれぞれの秘密を一つずつ白状するという遊びをします。

4人は各自自分の悩みや秘密を口にします。

意外にも一番単細胞と思われていたダイがとても深い事を考えている事に驚かされます。

そして最悪のタイミングで一番平凡なテツローが一番最後の番に回ってくるというのも妙におかしかったです。

「4TEEN」を読んだ感想

東京の月島が舞台になっていて、もんじゃ焼きが出てきたり、高層ビルが出てきたと思ったらいきなり下町の風景が出てきます。

混沌とした感じが何とも言えない雰囲気でした。

また中学2年生なので移動手段は主に自転車です。

自転車に乗っているシーンが多いからか、なぜだかすごく疾走感の感じる小説でした。

ストーリーは8つのオムニバスになっています。

好みは人それぞれでしょうが、私はやはり病院を抜け出してきたアカサカさんの話が一番好きです。

各章ごとに少年たちの意外な一面を見ることができ読み進めると新たな発見があったりします。

成績優秀のジュンが34歳の人妻をかばうシーンでのジュンはかなりカッコいいです。

男性が読んだらこんな中学時代送りたかったと思うかもしれないですね。

作者の石田衣良さんについては過去にクラシック音楽番組でMCを担当されていたのですが、お話しされるとかなり面白い人物で興味を持ちました。

テレビドラマ化

2004年にテレビドラマ化されています。

担任役でほとちゃんが出演してる!

レビューは微妙だけど機会があったら見てみたいです。

サブスクで探して見たけど配信はされてないようでした。

主役のテツロー役は角田紳太朗さん。知らない人だけど検索しても情報がないので引退されているのかもしれないですね。

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